TopCoderのプラグインGreedで自動生成したコードで「あいまいなシンボルです」エラーを回避

TopCoderプラグインGreed(詳細はTopCoder の強欲プラグイン、Greed を使う!)で自動生成したコードをVisual Studioでビルドすると以下のようなエラーが出ます。

error C2872: 'data': あいまいなシンボルです。
note: 'std::ifstream data' である可能性があります。
note: または 'data'

これが指すコードは以下です。

using namespace std;

ifstream data("MajoritySubarray.sample");

string next_line() {
    string s;
    getline(data, s);
    return s;
}

エラーの原因は、<string>ヘッダで提供されるstd::dataという関数と名前がバッティングしていることでした。コード中のdatadata2と変えるとビルドが通りました。

当たり前ですが、ちゃんとしたコードではそもそもusing namespace std;しないようにしましょう。

Linuxにおける2つのクリップボード - clipboard bufferとprimary selection

Linuxには「2種類のクリップボードのようなもの」があるということを今更明確に理解しました。

一つ目の「クリップボードのようなもの」は、Windowsなどでおなじみの"clipboard buffer"です。たとえばChromeにて、文字列を選択してCtrl + Cでコピー、Ctrl + Vでペーストという例のやつです。端末(Terminal)の場合はCtrl + C, Ctrl + Vがほかの用途で予約されているので、かわりにCtrl + Shift + Cでコピー、Ctrl + Shift + Vでペーストになります。

二つ目の「クリップボードのようなもの」は、"primary selection"とよばれるものです。例えば、端末にてマウスで文字列を選択したあと、Chromeの検索窓にてホイールクリックをするだけで、選択した文字列がコピーされます。

"primary selection"の方を意識して使うようにするとわずかながら作業速度が上がるかもしれません。

参考

シェルスクリプトでの'--'の意味は、オプションの打ち止め

シェルスクリプトでハイフンを2つ繋げた'--'の意味を最近はじめて知りました。これはオプションの打ち止めを意味します。

たとえばtouchコマンドで-hという空ファイルを作成しようとして

$ touch -h

とすると、-htouchコマンドのオプションとして解釈されてしまうため、下記のようにエラーが出てしまいます。

$ touch -h
touch: ファイルオペランドがありません
Try 'touch --help' for more information.

ここで--の出番です。--の後ろにある文字列はtouchのオプションではないことを明示できるので、以下のようにすることで-hという名前の空ファイルを生成できます。

$ touch -- -h 

書籍 "CUDA BY EXAMPLE" で julia_cpu.cu のビルドにはまる

引き続き、書籍 CUDA BY EXAMPLE を読み進めています。

Chapter 4のジュリア集合 - Wikipediaを描画するプログラムjulia_cpu.cuをビルドするのにやたら苦労したので、やったことをまとめておきます。OSはUbuntu 16.04 LTSです。

julia_cpu.cuのビルド

まず、gl/glut.hがシステム上に存在しないことからGLUTを入れる必要があることが分かったので、sudo apt-get install freeglut3-devでインストールしました。

次に、nvccコマンドで以下のようにビルドを試みますが、失敗します。

$ nvcc julia_cpu.cu -lglut
../common/cpu_bitmap.h(49): warning: conversion from a string literal to "char *" is deprecated

../common/cpu_bitmap.h(49): warning: conversion from a string literal to "char *" is deprecated

/usr/bin/ld: /tmp/tmpxft_00006f4f_00000000-10_julia_cpu.o: シンボル 'glDrawPixels' への未定義参照です
libGL.so.1: error adding symbols: DSO missing from command line
collect2: error: ld returned 1 exit status

まず、共有ライブラリ周りに問題がないかを調べました。libglut.soをlocateコマンドで探すと、/usr/lib/x86_64-linux-gnuにあることがわかります。

$ locate libglut.so
/usr/lib/x86_64-linux-gnu/libglut.so
/usr/lib/x86_64-linux-gnu/libglut.so.3
/usr/lib/x86_64-linux-gnu/libglut.so.3.9.0

このlibglut.soが依存するライブラリをlddコマンドで追うと、すべてのライブラリに到達できているように見えます。(もし見つからない依存ライブラリがあれば"not found"とは表示される)

$ cd /usr/lib/x86_64-linux-gnu
$ ldd libglut.so
    linux-vdso.so.1 =>  (0x00007fff910f7000)
    libGL.so.1 (0x00007f476d237000)
    libX11.so.6 (0x00007f476cefd000)
    libm.so.6 => /lib/x86_64-linux-gnu/libm.so.6 (0x00007f476cbf4000)
    libXi.so.6 (0x00007f476c9e4000)
    libXxf86vm.so.1 (0x00007f476c7de000)
    libc.so.6 => /lib/x86_64-linux-gnu/libc.so.6 (0x00007f476c414000)
    libdl.so.2 => /lib/x86_64-linux-gnu/libdl.so.2 (0x00007f476c210000)
    libGLX.so.0 (0x00007f476bfe0000)
    libGLdispatch.so.0 (0x00007f476bd12000)
    libxcb.so.1 (0x00007f476baf0000)
    /lib64/ld-linux-x86-64.so.2 (0x00007f476d723000)
    libXext.so.6 (0x00007f476b8de000)
    libXau.so.6 (0x00007f476b6da000)
    libXdmcp.so.6 (0x00007f476b4d4000)

次に、もう一度最初のエラーメッセージで検索をかけると、How to compile codes on CUDA OpenGL interop from the book CUDA BY EXAMPLE by Jason Sanders & Edw - NVIDIA Developer Forumsがヒットしました。これによると、-lGL -lGLUを加えるという回答があります。

最初は-lGLを追加から始めます。以下のコマンドを試しますが、今度はlibGL.soが見つからないと言われてしまいます。

$ nvcc julia_cpu.cu -lGL -lglut           
../common/cpu_bitmap.h(49): warning: conversion from a string literal to "char *" is deprecated
 
../common/cpu_bitmap.h(49): warning: conversion from a string literal to "char *" is deprecated

/usr/bin/ld: -lGL が見つかりません
collect2: error: ld returned 1 exit status

しかし、 /usr/lib/x86_64-linux-gnu/には libGL.soという名前のシンボリックが存在していたはずだから、libGL.soが見つからないと言われるのは心外です。このシンボリックリンクが指す先をfileコマンドで調べると、リンクが壊れていることがわかりました。

$ file /usr/lib/x86_64-linux-gnu/libGL.so
/usr/lib/x86_64-linux-gnu/libGL.so: broken symbolic link to mesa/libGL.so

なので、以下のように手動でlibGL.soのリンクを張り直しました。(注意:自己責任でお願いします)

$ sudo mv libGL.so libGL.manually-moved.so  
$ sudo ln -s libGL.so.1.0.0 libGL.so

このあともう一度サンプルをビルドすると、警告は出たままですが無事ビルドが通りました。

$ nvcc julia_cpu.cu -lGL -lglut     
../common/cpu_bitmap.h(49): warning: conversion from a string literal to "char *" is deprecated
 
../common/cpu_bitmap.h(49): warning: conversion from a string literal to "char *" is deprecated

苦労の末の戦果品として以下を捧げます。 f:id:minus9d:20180613204556p:plain

julia_gpu.cu のビルド

おまけで julia_gpu.cuのビルドについても触れておきます。プログラム中の

cuComplex( float a, float b ) : r(a), i(b)  {}

の行を

__device__ cuComplex( float a, float b ) : r(a), i(b)  {}

と書き換える必要がありました。(参考:c - CUDA Errors while running "CUDA By Example" julia_gpu.cu - Stack Overflow

書籍"CUDA BY EXAMPLE"の"../common/book.h"の場所

少し古い本ですが書籍"CUDA BY EXAMPLE"を読み始めました。

サンプルコードにある

#include "../common/book.h"

の場所が分からなかったのでメモ。現在ではCUDA By Example | NVIDIA Developerの "Download source code for the book's examples (.zip)" をダウンロードするとbook.hが入手できます。

WindowsにてGhostscriptを使ってPDFのサイズを縮小する

ScanSnapにてA4サイズ32ページのカラー書類を600dpi設定で読み込むと、138MB程度のPDF (src.pdfとします) が生成されました。このままだと大きすぎて取り回しが悪いので、Windowsでサイズの縮小を試みました。用いたソフトはGhostscriptです。

GhostscriptはGhostscript: Ghostscript Downloads からインストールしました。バージョンは Ghostscript 9.23 for Windows (64 bit) です。

compression - How can I reduce the file size of a scanned PDF file? - Ask Ubuntu に5段階の縮小方法が記述されていたので、これを以下のバッチファイルで試します。

@echo off

set PATH=%PATH%;"C:\Program Files\gs\gs9.23\bin"

gswin64.exe -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 -dPDFSETTINGS=/screen   -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH -sOutputFile=01_screen.pdf   src.pdf
gswin64.exe -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 -dPDFSETTINGS=/ebook    -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH -sOutputFile=02_ebook.pdf    src.pdf
gswin64.exe -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 -dPDFSETTINGS=/printer  -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH -sOutputFile=03_printer.pdf  src.pdf
gswin64.exe -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 -dPDFSETTINGS=/prepress -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH -sOutputFile=04_prepress.pdf src.pdf
gswin64.exe -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 -dPDFSETTINGS=/default  -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH -sOutputFile=99_default.pdf  src.pdf

Ghostcript PDF Reference & Tips — Milan Kupcevic によると、-dPDFSETTINGSの各設定の意味は以下のとおりです。

-dPDFSETTINGS=/screen   (screen-view-only quality, 72 dpi images)
-dPDFSETTINGS=/ebook    (low quality, 150 dpi images)
-dPDFSETTINGS=/printer  (high quality, 300 dpi images)
-dPDFSETTINGS=/prepress (high quality, color preserving, 300 dpi imgs)
-dPDFSETTINGS=/default  (almost identical to /screen)

バッチファイルを実行した結果得られたPDFのサイズは以下のようになりました。

設定 サイズ
元PDF (src.pdf) 138MB
/screen 3.1MB
/ebook 7.2MB
/printer 52MB
/prepress 74MB
/default 138KB

/screen, /ebookを使った場合は画質があまりに荒く、とても見れたものではありませんでした。/printer, /prepressなら許容範囲だと感じました。

次に、より柔軟に圧縮率を指定したいと思い、compression - How to reduce the size of a pdf file? - Ask Ubuntu の回答を参考に、DPIを数値で指定しようとしたのですが、なぜか縮小されませんでした。一応以下にスクリプトを載せます。

@echo off

set PATH=%PATH%;"C:\Program Files\gs\gs9.23\bin"

gswin64.exe -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 -dPDFSETTINGS=/default -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH -dDetectDuplicateImages  -dCompressFonts=true -r150 -sOutputFile=150.pdf src.pdf
gswin64.exe -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 -dPDFSETTINGS=/default -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH -dDetectDuplicateImages  -dCompressFonts=true -r300 -sOutputFile=300.pdf src.pdf
gswin64.exe -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 -dPDFSETTINGS=/default -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH -dDetectDuplicateImages  -dCompressFonts=true -r600 -sOutputFile=600.pdf src.pdf